公開日：2023/07/29

26th Season

#26-7　まともなFPGAボードの環境立ち上げ

　「#15-1　FPGAボードを買ってみた」より、使い続けてきたFPGAボード(Sipeed Lichee Tang Primer)ですが、FPGAチップAnlogic EG4S20の開発ツールであるTD IDEのライセンスが定期的に切れます。本来、Anlogic社ないしは、FPGAボード販売元のSipeed社が、ライセンスの切れる前に新しい更新ライセンスを発行すべきです。
　ところが、そんな簡単なサポートですら、まともにできないのが中華企業なのです。こちらで再三報告している様に、ライセンスが切れる度に、こちらからサポートに連絡しないと、ライセンスが更新されません。
　こんな低水準な中華サポートを続けるAnlogic社にも、Sipeed社にも、長い未来があるとは思えないし、先行きも不安です。いつ、会社が無くなってサポートが打ち切られるのやら……。

　いい加減ウンザリしたので、まともな(非中華製)かつ、最新のXilinx Artix-7 FPGAボードに乗り換えるんだ〜、というテーマです。
　前回、事前調査から購入までを報告しましたので、今回は、FPGAボード(Cmod A7)の開発環境を立ち上げます。

環境を立ち上げて行くぞ

　まずは、Digilent社の公式HPから、Cmod A7サポートページへジャンプしました。

• Digilent公式HP
• Cmod A7サポートページ

　Cmod A7サポートページを読んで見ると、Xilinx Vivadoという開発ツールのインストールが必要だと判りました。
　チュートリアル(Tutorials)の最初のトピック「Installing Vivado, Vitis, and Digilent Board Files」に従ってインストールを進めて行きます。

インストーラのダウンロード

　チュートリアル「Installing Vivado, Vitis, and Digilent Board Files」から、Xilinxダウンロードページへのリンクが有りますので、これを辿った先のページで、「Vivado ML Edition」のインストーラをダウンロードします。

• 執筆時点では、「Version」欄の「2023．1」というバージョン番号を選択すると、目的のVivado ML Editionインストーラでした。
• このページでは、執筆時点で最新の「2023．1」をインストールします。
• Windows、Linux用のインストーラが有るので、Windows版をダウンロードしてください。
• 「ISE Archive」からは、古いXilinx ISE開発ツールがダウンロードできるようです(未確認)。

　ダウンロードする際に、以下の情報を登録する必要があります。

• アカウント：
• メールアドレスと、パスワード。
• 後でインストールする時にも必要となるので、忘れないようにメモっておいてください。
• ※パスワードは「10文字以上(無駄に長い！)」の指定が有ります。
• 輸出管理：
• 米国の輸出管理に必要な情報の入力を求められます。
• 住所や電話番号などです。

　ダウンロードしたファイルは、ただのインストーラです。インストーラを実行すると、改めてインストールデータをオンラインからダウンロードしてくるタイプです。

Vivado MLのインストール

　ダウンロードしたインストーラを実行して、インストールを開始しましょう。

• ダウンロードしたインストーラを実行します。
  
  
  
• Nextボタンを押して先に進みます。
  
  
  
• 先程Xilinx(AMD)に登録したメールアドレスとパスワードを入力します。
• Nextボタンを押します。
  
  
  
• Cmod A7サポートページのチュートリアルでは、「Vitis」を選択するように指示されています。
• Vitisは、ソフトウェア開発ツールなので、本HPでは不要、と判断いたしました。
• Cmod A7サポートページのチュートリアルに従って、Vitisを選択するのは自由です。
• 本HPで必要なのは「Vivado」なので、これを選択して、Nextボタンを押します。
  
  
  
• Nextボタンを押して先へ進みます。
  
  
  
• ここで、下方の「Disk Space Required」と、お手元のPC環境に於けるディスクの空きスペースをご確認ください。
• デフォルトのチェックが付いた状態だと、200Gバイト以上の空きスペースが必要となります。
• 筆者のPC環境は非力なので、256GバイトのSSDがプライマリディスクとなっており、空き領域200Gバイトなんて、捻出できるはずもありません。
• 「200Gバイト以上の空き領域」って、Windows OSでもインストールするのかい？って感じです。
• 問題は、上ウインドウの「Devices」欄のチェックマークです。
• Cmod A7ボードでは、「7 Series」の「Artix-7」だけチェックしてあれば良いはずです。
• 上図では念のため、「7 Series」すべてをチェックしておきました。
• その他のチェックは外します。
• この状態でも、「Disk Space Required」＝約54Gバイトが必要ですので、頑張ってディスクスペースを開けてください。
• Nextボタンを押して先へ進みます。
  
  
  
• すべてのLicense Agreementに承諾してチェックを付け、Nextボタンを押してください。
  
  
  
• もう少しで終わります。インストール先のドライブ／ディレクトリ等を指定します。
• 手持ちの環境では、結局、プライマリディスク(SSD)にはスペースを確保できず、セカンダリHDD(D:\Xilinx)にインストールしました。
• Vivadoを実行する度に、ガリガリと重そうなHDDアクセス音がする事になるのだけど、まあ、それはそれで良いか……。頑張っている感が伝わってきます。
• ディレクトリパスに空白(　)を含むと正常動作しないみたいなので、「Program Files」等のディレクトリを指定しないようにしてください。
• Nextボタンを押します。
  
  
  
• 漸く、要約だぁ〜。Installボタンを押すと、インストールが始まります。

　ネットワーク通信速度などにも寄るでしょうが、手元の環境ではダウンロード含めてインストール完了まで3時間🕒以上かかりました。

Digilentボードファイル

　Vivadoのインストール作業が長すぎて、忘れてしまいがちですが、元々、以下の様にリンクを辿っていたのでした。

• Cmod A7サポートページ
• チュートリアル(Tutorials)
• 「Installing Vivado, Vitis, and Digilent Board Files」

　まだ、「Installing Vivado, Vitis, and Digilent Board Files」の途中までしか終わっていないので、忘れずに先へ進んでください。
　続いて、Cmod A7等のボード設定ファイルをダウンロードして、Vivadoのディレクトリにコピーする手順があります。

　「Installing Vivado, Vitis, and Digilent Board Files」ページの下の方に説明があって、「ダウンロード → 解凍 → Vivadoのインストールディレクトリにコピーする」だけですので、指示に従ってください。
　このファイルによって、Vivadoで新規プロジェクトを作成する時、ボード一覧の中からCmod A7-35Tを選択するだけで、FPGAチップの選択等必要な設定が完了します。

　環境立ち上げは以上で終わりです。Windowsのスタートメニューまたは、デスクトップのリンクなどからVivadoを起動できます。

　ちょっとフライング気味ですが、次のチュートリアルから、Digilentボード用制約ファイルのひな型(digilent-xdc-master.zip)をダウンロードして、適切なディレクトリに解凍しておいてください。

• Cmod A7サポートページ
• チュートリアル(Tutorials)
• 「Getting Started with Vivado for Hardware-Only Designs」

　上のチュートリアルに相当する作業は、次回の記事でなぞるので、チュートリアル自体は無視してOKです。digilent-xdc-master.zipファイルのリンクを探してダウンロード・解凍だけしておいてください。