swing_sqr.jpg


公園のブランコ

 今回は、公園の一風景をレイトレーシングで作って見ます。
 メインはブランコです。良く公園に設置してある、二人用のブランコ、その周りの安全領域を囲った柵、半分埋没したタイヤの遊具、のある風景にしたいと思います。

ブランコのモデリング

 まず、最初にやったのは、ブランコのサイズを調べることです。インターネットでサイズを検索しました。
 規格になっているわけでは無いし、色々なブランコがあるのでサイズも様々でしたが、平均的な数値を拾ってパラメータ化しました(↓)。

  // constants
  var BW=2700;  // 梁の長さ[mm]
  var BH=2400;  // 梁の高さ[mm]
  var BDG=100;  // 梁と支柱の角度[°]
  var BR=45;  // 梁パイプの太さ(半径)[mm]
  var PDG=30;  // 支柱の頂点角度[°]
  var PR=31;  // 支柱パイプの太さ(半径)[mm]
  var AW=200;  // アンカの幅/2[mm]
  var AH=250;  // アンカの高さ/2[mm]
  var SW=500/2;  // 踏み板の幅/2[mm]
  var SD=250/2;  // 踏み板の奥行き/2[mm]
  var SH=70/2;  // 踏み板の厚さ/2[mm]
  var SHH=400;  // 踏み板の高さ[mm]
  var SC=600;  // 梁のブランコ間距離[mm]
  var SCW=550;  // 梁の吊金具間距離[mm]
  var CH=20;  // 鎖の円弧間距離[mm]
  var CR=4;  // 鎖の太さ(半径)[mm]
  var FW=5000;  // 安全領域横幅[mm]
  var FD=7200;  // 安全領域奥行き[mm]
  var FH=800;  // 安全領域高さ[mm]


 基本的には、着色された鉄パイプが組み合わさっただけなので、寸法さえ決めてしまえば後は根気の問題です(1^^;)。カラーリングも、ネットで見つけた画像を参考に適当に彩色しました。

 踏み板をつるす鎖は「クロスのネックレス」でモデリングしたものを流用しました。ネックレスが、今回はブランコの鎖になっています。

タイヤのモデリング

 「タイヤの遊具を作ろう」と、思ったのですが、タイヤみたいな形は二次曲面を基本形状とするレイトレーシングには不向きなのだけど、どうかな?そう思ったのは、最初、「数学曲面のモデリング」で作ったトーラス(下図)みたいな形をイメージしたからです。改めて観察してみたところ、「タイヤはトーラスでは無いな……」。

torus.jpg


 簡略化して考えてみたところ、意外と角ばっていて何とかなりそうな感じです。

 まず、バウムクーヘンのような形を作り、それを円錐面を使って面取りしてみたところ、意外とタイヤらしく見えるではないですか。同じく円錐面を使って、タイヤの接地面に溝を掘ってやったところ、更にそれらしく見えるように(↓)。

tire.jpg

 完成データでは半分地面に潜った上、遠目にちらっと見えているだけのオブジェクトだったので、ちょっとフォーカスを当ててみました。

動かす

 動きを付けて行きます。
 都市伝説?なのだか、怪談の一種なのだか良く解りませんが、「誰もいない公園で、風もないのに、2つあるブランコの片方だけが延々と揺れていて一向に止まる気配がない。誰か(見えない人?、霊?)が乗っているのでは?」みたいな状況を表現してみたいと思います。

 ブランコを揺らすのは、「クロスのネックレス」で解説した振り子の動きを使います。

t_equ.png

 上の式は、振り子の周期Tを求める式でしたね。パラメータは糸の長さl(エル)だけですので、ネックレスだろうとブランコだろうと同じ式です。振り子の運動は振れ幅が小さい間は単振動ですので、周期Tさえ合わせておいたら、sinとかcosとかを使って普通に揺らすだけでそれらしく見えるはずです。

 ちなみに何かのTV番組で検証していましたが、ブランコって空気抵抗以外に揺れを止める方向の力が働かないみたいで、一度揺らし始めると数10分経っても揺れ続けるらしいです。たぶん霊とかは乗っていないので、ご安心ください。

音も付けてみようか

 映像が出来てみると、やっぱりさみしくて、音(効果音)が欲しくなりました。手近な家の中で、それらしき音を探して回ったところ、丁度良い音が見つかりました。

 家の中で探して、スマホで録音しました。sPeachのミキシング機能で、生成した動画像のタイミングに合わせて各効果音をミキシングします。その方法についてはこちらで解説してあります。


完成データ

 完成したデータをリンクしておきます。

1) Xi-TRACEデータ swing_sqr.xitr
2) 効果音(ブランコ) swing.wav
3) 効果音(街灯) lamp.wav

 1)をXi-TRACEで実行すると、街灯が明るい時の1周期と、暗い時の1周期、昼間の静止画だけ計算して終了します。編集で適当に、街灯が明るい動画の中に暗くなった時の画像を紛れ込ませて、街灯が切れかかっている状態を作り出しています。
 2)3)は、効果音に使った音声データ(ご参考)です。



 何も、夜にしなくても良かったかな?昼間の公園は良いですが、夜の公園はちょっと怖いですね。


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