トランプをモデリングする

　今回は、トランプのカードをモデリングしてみたいと思います。

カードのモデリング

　カード自体の形状としては、直方体をベースとして4隅を丸くしたらおしまいです。ただし、世の中に流通するトランプカードのサイズには、大きく2種のサイズがあるそうです。

• ブリッジサイズ
• 横幅約57mm×高さ約89mm。
• 日本で流通しているトランプは、横幅の狭い、こちらのサイズが主流なんだとか。
• ポーカサイズ
• 横幅約63mm×高さ約88mm。
• でも、世界的に主流なのは、こちらの幅広タイプらしいです。
• 海外でトランプを購入すると、こちらのサイズである可能性が高いです。

　「約」が付いているのは、元々の規格が単位インチで決まっているのでしょう。レイトレーシングデータの記述では、世界的に主流であるポーカサイズを使い、mm単位でモデリングしてあります。

　　// constants
　　var　CW=63;　　// トランプのサイズ[mm]
　　var　CH=89;
　　var　CD=0.3;　　// 厚さ[mm]
　　var　CR=5;　　// 角の丸み半径[mm]

　形状は決定しました。だかしかし、トランプのモデリングで障害となるのは、両面のマッピングデータ準備であろうと思われるので、以下、マッピングデータの生成について考案して行きます。

表面マッピングデータの生成

　まず、表面です。表面は、1(エース、A)から13(キング、K)までの13枚×マークが4種類(クラブ，ハート，ダイヤ，スペード)と、ジョーカ1枚の、計53種類をデザインしてください。
　普通のトランプは、ジャック，クイーン，キングの絵札と、ジョーカには、それぞれを表す絵が描かれています。それ以外の数字カードには、数字と同じ数のマークがデザインされているのが一般的です。

　まず、この53種類の図柄を用意するのが大変な作業となります。

　今回は、マッピングデータのサイズをケチって小さなサイズに抑えること、スクリプトを使って自動生成すること、を目的として、簡略化したデザインにしてしまいました。
　凝りたい方は、最後にリンクするスクリプトをご自身で改造するなり、以下に説明するマッピングデータの仕様に従ったマッピングデータをご自身で用意してください。

　以下図は、スクリプト(card_front.olv)で自動生成した表面のマッピングデータ例です。



　以下にマッピングデータの仕様をまとめておきます。ご自身で作成する場合の、ご参考にしてください。

　　マッピングデータ仕様

• マッピングデータのサイズは任意です。
• 現在のXi-TRACEでは、最大6,144×6,144[ドット]の画像まで取り扱うことが可能ですので、それ以下のサイズとしてください。
• 細かい図柄を書き込みたい場合は、画像サイズを大きくした方が描き易いでしょう。
• レイトレーシングデータでは、マッピングデータ画像の横幅を14等分、高さを4等分に分割して、カード種毎のマッピングデータとして取り込みます。
• 横：
• 横に14等分した1つ1つのブロック(列)が、1〜13までのカードと、最後の14ブロックはジョーカに相当します。
• 縦：
• 縦に4等分した1つ1つのブロック(行)が、4つのマークに相当します。
• 上図(および、生成用スクリプト)では、上からクラブ，ハート，ダイヤ，スペードの順で並べてありますが、レイトレーシングデータ内では、マーク番号1〜4でアクセスするため、マークの順番は任意です。
• 取り込む時、縦×横に14×4等分するので、マッピングデータサイズは14×4の公倍数にしておくのが良いでしょう。

裏面マッピングデータの生成

　続いて裏面です。裏面の模様は幾何学的なデザインになっていることが多いみたいですね。作者には、そう言うデザインのセンスは無いので、裏面には「迷路描画アルゴリズム(以下参照)」を使って、迷路を描画してみました。遠目で見ると、それらしき模様になったと思います。

　　迷路描画アルゴリズム：

• １）迷路を描画したい範囲を赤色で塗っておく。
• 形状は任意。
• 赤色は、迷路の壁を表す。
• ２）スタート座標を指定する。
• １）の赤色範囲内の点である事。
• スタート座標を現在の座標に設定して、３）へ。
• ３）から戻って来たら終了。
• ３）現在の座標が既に廊下(白)だった場合は、戻る。
• 画面の外に、はみ出した場合も同様。
• ４）現在の座標を廊下にする。
• 廊下は白色で描画する。
• 現在の座標を廊下(白)にすることで、周辺に2×2マスの廊下ができてしまう場合は、現在の座標を壁(赤)にして、戻る。
• ５）非重複乱数列0〜3を作って、以下の方向に廊下を伸ばす。
• 乱数が0なら、上。
• 乱数が1なら、左。
• 乱数が2なら、下。
• 乱数が3なら、右。
• 新しい座標を設定して３）へ。
• ６）4個の非重複乱数列が無くなるまで、５）を繰り返し。
• 4個の非重複乱数列を処理し終わったら、戻る。

　正確なアルゴリズムはスクリプト(card_back.olv)で直接ご確認ください。

※なお、スクリプト(card_back.olv)は再帰呼び出しを使っているため、迷路が複雑になってくるとスタック領域が不足して、異常終了する場合があります。

完成データ

　完成したデータをリンクしておきます。

　１）でレイトレーシングを実行します。２）３）は、マッピングデータです。ご自身で用意しても良いですし、それぞれ、４）５）のスクリプトで生成できるので、スクリプトを改造するなどして生成しても良いです。

※スクリプトはOlive+の拡張子(.olv)ですが、Xi-TRACEからでも読み込んで実行できます。

　完成した動画を以下にリンクしておきます。



　勝つには勝ったけど、折角の最強ロイヤルストレートフラッシュも、相手がブタ(役無し)では宝の持ち腐れですね……、って言う、オチでした。こういう運の使い方は、したくないものですよね。